お染 (「品川心中」より) / 島津亜矢
[2014年5月21日]
江戸の頃、品川は
Edo no koro, Shinagawa wa
大層賑わっておりまして、
Taisou nigiwatte orimashite,
わたしお染は
Watashi osome wa
「白木屋(しろきや)」という
"Shirokiya" to iu
貸し座敷の板頭(いたがしら)を
Kashizashiki no itagashira o
務めております。
Tsutomete orimasu.
しかし、若い娘(こ)たちに
Shikashi, wakai kotachi ni
どんどん お客がついて、
Dondon okyaku ga tsuite,
ついには「お茶っぴき」。
Tsuini wa "ochappiki".
移り代えのお金も
Utsurigae no okane mo
工面出来ない始末。
Kumen dekinai shimatsu.
こんなことなら、いっそ
Konna koto nara, isso
死んじまおうかと思うが、
Shinjimaou ka to omou ga,
どこかに一緒に逝ってくれる
Dokoka ni issho ni itte kureru
馬鹿はいないもんかねぇ。
Baka wa inai mon ka nee.
江戸の南の 品川宿は
Edo no minami no Shinagawa-Juku wa
浮いて沈んで 女郎花
Uite shizunde ominaeshi
一夜一生 思いをこめて
Hitoyo isshou omoi o komete
死出にいざなう 恋もどき
Shide ni izanau koi modoki
ともに行きましょ この世の果てに
Tomoni yukimasho konoyo no hate ni
沖の 沖の不知火
Oki no oki no shiranui
エーエー… 袖しぐれ
EE EE... sode shigure
若いってだけで
Wakai tte dake de
チヤホヤされて、
CHIYAHOYA sarete,
浅ましいったらありゃしない。
Asamashi ittara arya shinai.
男も男だ。
Otoko mo otoko da.
若い女なら
Wakai onna nara
何でもいいときたもんだ。
Nandemo ii tokita mon da.
まぁ、いいわ。
Maa, ii wa.
貸本屋の金蔵を
Kashihon'ya no kinzou o
うまく誑(たら)し込む事が出来た。
Umaku tarashikomu koto ga dekita.
これでようやく
Kore de youyaku
面目がたつというもの。
Menboku ga tatsu to iu mono.
さて、どうやって
Sate, dou yatte
死んでやろうか…。
Shinde yarou ka....
あっ、丁度いいところに。
Ah, choudo ii tokoro ni.
「ちょっと ちょっと、
"Chotto chotto,
金さ~ん。」
Kinsaan."
宵の明星 東へちろり
Yoi no myoujou higashi e chirori
明けのカラスも 鳴いてとぶ
Ake no KARASU mo naite tobu
浮世舞台じゃ 真(まこと)も嘘も
Ukiyo butai ja makoto mo uso mo
生きるよすがの 決めぜりふ
Ikiru yosuga no kimezerifu
ちょっと待ってて あの世の果てで
Chotto mattete anoyo no hate de
春の 春の名残りの
Haru no haru no nagori no
エーエー… 散り桜
EE EE... chirizakura
何が悪いのさ。
Nani ga warui no sa
男と女なんて、
Otoko to onna nante,
騙して騙されて、
Damashite damasarete,
お互い様じゃないの。
Otagaisama janai no.
お金を湯水の様に使っての
Okane o yumizu no youni tsukatte no
毎夜毎夜のドンチャン騒ぎ。
Maiyo maiyo no DONCHAN sawagi.
「踊る阿呆に見る阿呆」とは
"Odoru ahou ni miru ahou" to wa
よく言ったもんさ。
Yoku itta mon sa.
情に溺れて、欲に逆上(のぼ)せて、
Jou ni oborete, yoku ni nobosete,
いい加減
Iikagen
疲れちゃったんだよ。
Tsukarechattanda yo.
さぁ、もうおしまい。
Saa, mou oshimai.
黄楊の横櫛 この洗い髪
Tsuge no yokogushi kono araigami
知って落せぬ 染みひとつ
Shitte otosenu shimi hitotsu
首を洗った 覚悟もできた
Kubi o aratta kakugo mo dekita
せめて死ぬ時ゃ にっこりと…
Semete shinu tokya nikkori to...
夢をみたとて 仕方がないが
Yume o mita tote shikata ga nai ga
聴いて 聴いておくれよ
Kiite kiite okure yo
エーエー… 江戸端唄
EE EE Edo hauta
一寸先は闇。
Issunsaki wa yami.
本当にどうなるか
Hontou ni dou naru ka
わかったもんじゃあ
Wakatta mon jaa
ないもんだ。
Nai mon da.
それにしても
Soreni shitemo
ついてない男だね、
Tsuitenai otoko da ne,
金さんは。
Kinsan wa.
ひとりだけ逝っちまって、
Hitori dake icchimatte,
悪い事をしちゃったよ。
Warui koto o shichatta yo.
でも、まぁ
Demo, maa
死んじゃったもんは
Shinjatta mon wa
しょうがない。
Shouganai.
そっちに逝ったら ちゃんと
Socchi ni ittara chanto
詫びるから堪忍ね。
Wabiru kara kannin ne
ごめんよ~。
Gomen yoo.
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